東京にひっそりと息づく非実在の犬について

f:id:nocooo:20120411193155j:image:medium
こないだ東京行ってきた。出張です。
東京に住んでる川村わむらもさんに最近良い展示見た?って聞いたらポロックがおすすめと返ってきたが、すでに閉館時間が迫っており。結局遅くまであいてる森美術館へ。イ・ブル展見てきたよ。
http://www.mori.art.museum/contents/leebul/
犬の作品があるんだ。夜空の星屑をあつめて出来たような犬がうなだれるような姿勢で、キラキラ光る破片を吐き出し続けている。大きな窓一面に見える夜景に向かって。それはまるで我が身を削って東京の夜の輝きをひっそりと作り続けているように見えて、寂しくて少し泣いた。みんなも会いに行ってあげて。ほんとうに寂しそうなんだ。
そして、なにもこの犬のために私は泣いているのではないということに気付く。おそらくは、どこか遠くへ駆けていってしまった青くてふわふわの犬のために。遊びつかれて乗った京葉線の車内でふと我に返りそっとネズミ耳のカチューシャを外すみたいに、もとの人間の姿になって今も都会のどこかで暮らしているのだろう。
たまには、犬だった頃のことを思い出すのだろうか。いずれにせよ、もう私の知ったことではないのだろうけど。